少し困った親心

しかし、何故だか。
農場へ着くなりこの妙な躍動感を感じさせる老女に捕まってしまいました。
はいはい。何でございましょう?
ちょっと今ブドウ狩り予定で忙しいんですけど・・・

はあ。
あれが娘さん?
この距離からでは綺麗な顔立ちなんだか一切確認出来ませんが、きっとお綺麗なんでしょうね。

ほうほう。
大層、ご自慢の娘さんみたいですね。
それはそれは。
・・・。
で。
そろそろ、ブドウ狩りに行ってもいいですかね?

あら。
その自慢の娘さんが最近隠れて何かをなさっている?
ほう。
でも、遠くから見た限り、娘さんは大人の女性に見えましたが・・・?
であれば、母親に全てを報告するってのはあり得ない話なんじゃないかと思いますけど。
そもそも、へっぽこさんが来る前に来た?傭兵さん?
その方が誰だかわたくし知りませんし。

あらやだ。
その傭兵さんと娘さんが恋仲なんじゃないかと疑っていらっしゃるんですか?
だったら本人に聞いてみればいいのに。

だ・か・ら。
何故本人に聞かないのですかね?
急にへっぽこさんが出て行っても、こっちが怪しまれるだけだと思うんですけど?
まあ、どうしても。と、おっしゃるんでしたら、お話だけして来てもいいですけど、本当に何故へっぽこさんに頼みますかね?

しっかし、
まあ、いいですよ。
ここでお会いしたのも何かの縁ですから、話だけでも聞いて来ます。
(ブドウ狩りで忙しいのになぁ・・・)

