殺しのライセンス
実は当冒険記の主人公であるへっぽこウォリアーには・・・

影武者が居ます。
しかも、昨日や今日冒険を開始した訳ではなく、かれこれもう4年以上。
へっぽこさんと同じくらい当家最古参の冒険者なのであります。
そもそも何故、彼の様な影武者が必要だったのか・・・
それは、へっぽこさんがへっぽこが故に、物語上重要な話を聞き忘れたり、写真を撮り忘れたり、冒険記を記す上で非常に不都合なポカを散々やらかしまくりやがってくれた(?)ので、その尻ぬぐいをする為に彼の様な隠れた存在が必要だったのです。
てなわけで、実はこの冒険記にもこの影武者は人知れず散々登場しています。
ま、見ていただいている方には大して重要な話ではありませんが。
そんな、へっぽこさんが冒険している体で実は何度もその肩代わりをしていた影武者である彼に、今から遡る事少し前・・・結構前・・・?・・・大分前に、ある特殊任務が与えられる事になりまして。
覚えていらっしゃる冒険者の方も多いとは思いますが、例のテルミアンのなんちゃらとかっていう期間限定イベントで赤ネームになる必要がある依頼がありました。
しかし、普段何かと忙しいへっぽこウォリアーを赤ネームにするのはちょっと・・・
と言う訳で影武者である彼に白羽の矢が立ったという次第で御座います。
当家として初めて赤ネームデビューを飾ったへっぽこさんの影。
その後、無事イベント依頼はクリアしたのですが、特にその時お仕事の無かった影武者はそれからしばらく赤ネームのまま放置されてしまうという実に無残な処遇を受ける身となっておりました。
で。
ある日、そんな影武者の哀れな姿に気が付いたへっぽこさん中身の人は、彼にもう一つの特殊任務を与える事を思いついた!というのが今回の旅のはじまりです。

そう。
赤ネームでなければ遂行出来ない依頼。
無法者の街、ムイクン関連の依頼をこの機会にやってみようと思ったのでございます。
ベテラン冒険者の方々は、この為だけにあえて赤ネーム冒険者を作ったと囁かれている難問。
果たして、即席赤ネームのへっぽこの影に遂行出来るのか?分かりませんが、とにかく冒険開始です。

旅の始まりはベルトッドという厳つい
というのも、隣にいる<無法者>カヤル・ネセルさんは口を利いてくれなかったからなんですけど。
それにしても「ネセル」・・・?と、ちょっと気になったのですが、彼の正体は後々分かって行くこととなります。
とりあえず、このベルトッドさん<監視官>らしいのですが、一体何を監視している方なのでしょうかね?
まあ、無法者が集まるこの街で、監視しない訳にはいかない事情は幾らでもありそうなもんですけども。

そんな彼からの頼みというのが、フィラ・ク監獄関連。
一応、ここからは目と鼻の先にある砂漠の監獄ですわね。

そこに、何か大事なものがあるのでそれを持ってきて欲しいというのが彼からの依頼。
ですがその前に。
お前がこの依頼を任せるに値する人物かどうか証明してみせろとフィラ・ク勢の討伐任務を言い渡されました。
あら。
そんなに頼りなさそうにみえますかね?
偽物のへっぽこさんとは言え、武器防具はへっぽこさんのお下がりとか身に着けているので、それなりに戦えるつもりなんですけど。
ていうか、この任務に挑んだものは皆失敗したってね・・・
現場はフィラ・ク監獄でしょう?
この世にはもっととんでもないモンスターが山ほど居る現場があるというのに、監獄程度の任務を失敗て。
ムイクンの人たち、ちょっと情けないんじゃありませんかねぇ?

等と生意気な口をききつつ、依頼を受諾するへっぽこの影でございました。

そして、さっそく任務へと出発。
ささっと砂漠を移動し、フィラ・ク監獄へ。
一応、善良な冒険者の方を驚かしてはいけないと、エント迷彩に身を包み隠密行動開始です。
これできっと大丈夫。
ちょっと怪しい感じですけど、悪い人ではありません。
脱げばしっかり赤ネームですけどね。

