そして、立派な悪人になる
あろうことか、善良なる人々には無害な存在である砂漠の貿易商団を襲撃してこいと命じられたへっぽこウォリアーの影武者。
でもま。中身の居ない所謂NPCってやつですからね。
誰にも迷惑が掛からないっちゃあ、掛からないんです。
なので、軽い気持ちで出発する影武者さん。
しかし!
こういう時に限ってみつからないんですねー、これが。
確か、首都バレンシアの方で見かけたような・・・
いやいや、どこかの聖所の近くだったような・・・
今まで特に追いかける必要のない存在でしたからね。
急に貿易団の跡を追えとか言われましても、彼らがどこにいるのかさっぱり見当つかないんですわ。
一応、依頼説明に大まかなルート的な説明も記載されていましたが、この広い砂漠においてはそんな情報は気休めなんです。
全くみつかりゃしません。
それでも、暇を見ては砂漠を彷徨い続けるへっぽこの影さんでしたが、何日経っても貿易団には出会えず。
無駄に難易度高いんですけどー!なんて思っていたある日の事。
へっぽこウォリアー(本体)がたまたま砂漠方面の冒険へと出かけたその時、イベルブオアシス近くで貿易商団を発見!!!
慌ててへっぽこさんの影へと主役交代致しました。

さあさあ!ここで会ったが百年目。
貴殿等に恨みは全く無いが、ご容赦願いますよ。
さあ、ここからは悪人大暴れのお時間です。
悪人気分を盛り上げる為に、生まれてこの方一度たりとも発したことのない絶叫と共に突撃開始でございます。
「ヒャッハー!!!」

もう、後は野となれ山となれ。
始まっちまったものは仕方ありません。
貿易商団が倒れるか、へっぽこ影が返り討ちにされるか。
その行方は神のみぞしるものなので御座います。

その直後から、派手に流れ続ける警告文。
ですよねー、そうですよねー。
善良な彼らをやっつけちゃったら性向値が下がりますよねぇー。
しかし、これも今は構っちゃいられません。
悪の仕事に手を染める覚悟を決めたのなら、これは受け入れなくてはならないSADA☆MEなのです。

てか、全力の勢いでヒャッハーしたはずなのに、あまりダメージ食らってませんね?
流石貿易商団の護衛役、なかなか屈強なツワモノ揃いです。
ま、所詮影武者なので、へっぽこさん程の戦闘力は無いですよって話なんですけども。

影武者にとっては強敵と言える貿易商団戦闘員との闘い。
しかもよく見れば、槍を持った戦闘員だけでなく妙な魔法を飛ばしてくる司祭様とかまで居るじゃありませんか。
さらに弓兵までも商団に含まれています。
近づけば多数の槍兵による攻撃。
距離をとれば弓矢魔法の雨あられ。
いやいや、彼らほんとうに良いチームっすね。
などと感心している場合ではありません。
見事なチームワークを発揮する上に、やたらめったら硬直やらなにやらを食らうので、気が付けば大勢にボコボコにされている状態になります。
否応なしにもみくちゃの酷い戦いが続きます。
スマートになんか戦えません。
ここで、ボコボコにされながらも影武者はふとあることを考えました。
何をすれば依頼完了になるんでしたっけ?
・・・。
勇み足が過ぎてその辺よく確認して来なかったんですけど・・・

ですが、ぐちゃぐちゃのめちゃくちゃな乱戦の最中、なぜか突然依頼目標達成となりました。
何体か倒せって話だったんですかね?
よくわかりませんけども。
しかしこの直後。
どいうわけか急激に動きが鈍くなり、危うくあの世が見えかけた影武者。
慌ててV逃げなんてものをかまして逃走を図ります。

一体何なんだ・・・と自分の姿をよく見てみると・・・
!?
なんか貿易品背負ってるんすけど!
まさか、彼らを倒すと貿易品をドロップするんですか?
そんな・・・
なんという巧妙なトラップなのでしょう・・・
卑しくペットなんかを出しているとこんな罠にかかるかもしれないんですね・・・
いやぁ、悪人稼業もなかなか過酷ですわ。
とにかく、難問だったこの依頼をどうにか無事に終えたへっぽこウォリアーの影武者。

ですが、その代償はこのがっつり下がった性向値という形で支払う事となりました。
これで君も立派な悪人だね♪
・・・。
真人間に戻るの大変そう・・・

