姫の苦悩

しかし、二人が心を通わせる程に嫌でも知ることになる、彼女たちを取り巻く複雑に絡み合った運命。

確かにきっかけは、
「カーマスリブの光を取り戻す為に必要な事だったから」
それが全てなのかもしれません。
しかし、心を通わせ、何時しか親友となった二人。

ですが皮肉なことに、キャサリン姫の中で幼きオーウェンの存在が大切な物に成る程、生まれる葛藤。
精霊語で鍵という名が示す通り、オーウェンさんは鍵たる存在・・・
へっぽこなウォリアーには、一体何の鍵なんだかまでは分かりませんが、キャサリン姫は理解していた事でしょう。

そしてその鍵は、冬が来る前に納めなければならない。
納める・・・とは?
なにかあまり良い表現には感じられないという事は確かです。

しかしその答えは続くキャサリン姫の吐露するところから何となく分かりました。
鍵を納めるという事は、オーウェンさんを犠牲に捧げるという事。
カーマスリブの光を取り戻す事がいくら大事でも、幼い少女の命と引き換えとは・・・
当然、キャサリン姫も苦悩します。

しかも、問題はそれだけではありません。
本人以外の所でオーウェンさんが鍵だという噂が広まってしまったそうです。
その噂はじきにアメリア女王やアヒブの知るところになるのではないか?
さらなる懸念がキャサリン姫を悩ませます。

もし、アメリア女王やアヒブがこの事実を知ったら。
幼きオーウェンの命が危ない。
当然、そんな事もお考えになったそうな。

何より、キャサリン姫自身が親友を過酷な運命へと誘った事に対し、相当悩んでおられた様子。

その懺悔の言葉は、今やカーマスリブの光を取り戻す事よりも大切な存在になってしまった、幼き友へと向けられたものだったのかもしれません。

