運命を変える女
エリアン教司祭のドスリアさん。

彼女とアタラクシアさんとの出会いは、カルフェオンのスラム街だったそうな。
へぇ。
しっかし、エリアン教司祭のドスリアさんがカルフェオンに居たのは分かりますが、そこで会ったということはアタラクシアさんもカルフェオンのスラムをウロチョロしていたって事になりますね?
まったく、色々なところに行ってますわね、この人は。

そんな二人が出会った当時、ドスリアさんはお金に困っていた・・・。
それを助けてあげたのがアタラクシアさんだったそうです。
へぇ。
しかし、光明の黄金道という集会に参加するのに、そんなお金が必要なんですねぇ。

この話を聞いたヘロンさんは・・・大した理由もなく何故ドスリアさんを助けたのか?と疑問なご様子。
首を括った・・・??
多分ですけど、大した理由もなく何故他人の人生に「首を突っ込む」のか?と言いたかったんでしょう。
さらに、金に困った人間を一人救ったところで世界は変わらないだろ?
なーんておっしゃってます。

このヘロンさんの言葉に対し、アタラクシアさんは・・・
なんだか非常にロマンチックなお返事をなさいます。
こんな発言、イケメン冒険者にのみ許される類のやつですわね。

加えて、たとえ救えたのは一人だったとしてもそれで十分だと言う彼女。
何故なら、ドスリアさんは苦しむ人々に手を差し伸べる事の出来る人間だから。
ああね。
例え一人、例え小さな希望でも、奴隷にされた人々にとってドスリアさんは、それこそ光明に成りうるという話ですね?
いやぁ、アタラクシアさん、なかなか良いことおっしゃるじゃないですか。
伊達に「誰かの運命を変えたくなったんだ・・・」なんて言っているわけではありませんね。

そんなアタラクシアさんの言葉を聞いたせいか、今度はヘロンさんがその胸の内を語り始めます。
ヘロンさんに芽生えた疑心の種・・・?

つまりヘロンさんの中に生まれた何かしらの疑心が、彼女を放浪の道へと誘ったということなんでしょうね。
・・・ふむ。
そうそう。
後々よく考えてみたら、光明の黄金道って集会は、人々を騙して船に乗せて奴隷としてオーディリタに連れていこうという悪党の営む集会だったってことですかね?
本人から会費を取った挙句、おめでとう今日から君は奴隷だ♪なんてね。
どんだけ酷いシステムなんでしょうか。
しかし、てことはですよ?
カルフェオンのスラムで困っていたドスリアさんに、もしアタラクシアさんが入会金を工面して差し上げなかったら・・・
ドスリアさんも奴隷としてオーディリタに連れて来られる事もなかったんじゃないかと。
そう考えると、ドスリアさんが奴隷にされてしまったのは、間接的にアタラクシアさんのせい。
どこかで(奴隷として売られたという)事実を知ったアタラクシアさんが、慌てて光明の黄金船に乗り込んでいったというその後の行動にも納得できましたわね。
まぁ・・・ドスリアさんの自己責任でもありますけど。
アタラクシアさんがお金を用意しなければ・・・起きなかった事。
たしかにアタラクシアさん、誰かの運命を変えるのに成功していましたわね。

