巻き戻せぬ運命

　今まさに堕落の道へと堕ちていこうとしているアタラクシアさん。

　もはや手遅れなのかと思いつつも、祈るような気持ちで彼女に火の玉果を与えるへっぽこウォリアー。


　すると・・・




　効果はすぐに現れました。

　先ほどまで彼女を苦しめていた赤い魔力が消えていったではありませんか。


　お？

　これは・・・上手く行きましたか？




　その様子を見たペネルナさんも、これで段々と良くなる筈だとおっしゃってます。

　ああ！良かった。

　まったくね。一時はどうなる事かと思いましたよ。


　で？アタラクシアさんが堕落するのが分かっていたのかって？


　いやそんなん知らんですよ。

　ただ、今まで色々な方から聞いた話と状況を照らし合わせて考えると、そうなのかな？って程度ですけど。


　まぁ、とにかく彼女が無事で良かったですわよ。




　って！

　言ってることが違うじゃないですか！

　たった今、段々良くなるっておっしゃったばかりでしょう？


　それなのに、やがては堕落者になるって・・・。


　えぇ・・・？
　



　この地の闇がアヒブではない者を襲う・・・

　つまり、アヒブにならなかったベディル達が標的というか、犠牲者になるってことですか？

　なんでまた・・・




　そして、堕落してゆく者たちは、最後にこのいばらの女神像を訪れると。

　だからもう、アタラクシアさんは手遅れだと思ったとおっしゃるんですね？

　ほう・・・。


　この女神像って一体・・・




　そして、一度堕落の道を歩み始めた者は後戻りなど出来ないとおっしゃるペネルナさん。

　所詮、火の玉果もその堕落の歩みを遅らせる力しかない。


　・・・。


　やっぱりそうなんですね・・・。

　いやね、ちょいちょい変な言い回しをするものですから、なんとなーくそんな気はしていたんですけどね。

　堕落を遅らせるだけ・・・


　てか、他に完全に治す良い方法は無いんすか？！




　当然、オウダー女王のほうでも完全な治療法を探していたそうですが。

　結果は、欲望の薄れた堕落者が生まれただけ。


　要するに、完全な治療は出来なかったんですね・・・


　・・・。




　でも。

　最近まで首都にいた奴隷救護隊長リムバさんなら、何か知っているかもしれない！


　ああ。

　研究はずっと続けられていたんですね？

　それならば、何か進歩があったかもしれないですものね！


　・・・その後、まったく研究が進んでいないって事も考えられますけど